ライブコマースについて

Eコマースの新しい販売方法として注目を集めている「ライブコマース」。

アパレルやコスメ、家具・インテリア、食品など幅広いカテゴリーでその活用が広がり始めました。

今回は、ライブコマースを事業として取り組むにあたって、実現方法や注意点などを解説します。

◆ライブコマースとは?

ライブコマースとは、インターネットを使ったライブ配信とEコマースを組み合わせた販売手法を指します。

具体的には、InstagramなどのSNSやライブコマース配信プラットフォームサービスを使ってライブ配信を行い、商品を紹介して視聴者をECサイトへ誘導するといった方法があります。

ライブコマースが増加している背景には、動画市場の盛り上がりがあります。

最近では、モバイル通信の高速化やスマートフォンの高性能化により、誰もが簡単に動画で情報を発信できるようになりました。

配信者の中には、芸能人顔負けの知名度を誇る配信者も少なくありません。

ライブコマースは、そうした動画時代ならではの販売方法といえます。

また、ライブコマースは配信者と視聴者のコミュニケーションを通じて、消費者の購買意欲を高めていきます。

例えば、視聴者からコメントで寄せられた質問を配信者が読み上げ、その場で回答しながら商品について説明するなど、リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションが成立するのがライブコマースの特徴です。

◆ライブコマースのメリットとは?

①商品の魅力を伝えやすい

②購入前の不安をその場で解消できる

③接客で顧客との結びつきを強めることができる

④配信者のファンに宣伝できる

⑤場所を選ばない

①商品の魅力を伝えやすい

ライブ配信なら、ECサイトの文章や写真だけでは伝えきれない商品の魅力を伝えることができます。

布を引っ張って見せることで伸縮性を直感的に伝えることが可能ですし、スカートは素材のふんわり感を伝えることもできるでしょう。

衣類以外にも、家具の組み立て方や調理器具の使い方などを実演形式で説明することも可能です。

②購入前の不安をその場で解消できる

視聴者から寄せられた質問に、配信者がその場で回答すれば、購入前の消費者の疑問や不安をリアルタイムで解消することも可能です。

消費者がECサイトで商品を購入する場合、商品の素材や使い方といった「商品そのものに関する情報」を知りたいのはもちろんのこと、トップスとの相性や、自分の身長や体型に商品サイズが合っているかなど、さまざまな疑問が湧いてくるものです。

ライブコマースであれば、実店舗で店員さんに相談しながら買い物をするのと同じような感覚で、配信者に質問や相談を行いながらオンラインショッピングを楽しむことができます。

この特徴を踏まえ、配信者が視聴者としっかりコミュニケーションを取ることがライブコマースを成功させるポイントです。

③接客で顧客との結びつきを強めることができる

売り手が顔を出し、肉声で視聴者に語りかけることで、売り手に対する親近感を抱いてもらう効果も期待できます。

④配信者のファンに宣伝できる

配信者にすでにファンがいる場合、ライブコマースは集客量を予想しやすいというメリットがあります。

また、ファンは配信を好意的に視聴してくれるため、ただ動画を配信するよりも宣伝効果が高いといえるでしょう。

⑤場所を選ばない

配信や視聴に関して場所を選ばないことも、ライブコマースのメリットです。

例えば、日本の事業者が中国のインフルエンサーに依頼してライブコマースを実施し、配信を視聴したヨーロッパのファンから注文が入るということもあります。

ライブコマースなら、これまでリーチできていなかった新規顧客層にリーチできる可能性があります。

そもそも、消費者がライブコマースを視聴するのは何故でしょうか。

その理由は大きく2つ挙げられます。

  • ECサイトで買い物をする前に、商品について詳しく聞きたい
  • ブランドまたは配信者のファンで、ライブ配信そのものを楽しみにしている

1つ目は「買い物」が目的ですが、2つ目は「配信者との交流」が目的です。

つまり、ライブコマースは単に商品を売るためのものではなく、売り手(配信者)と顧客(視聴者)がつながる機会を創出する場でもあります。

◆ライブコマースのデメリット・注意点

・視聴者を集める集客施策が不可欠

広告やSEOでライブコマースの開始を宣伝したうえで、視聴者を増やし、購買に導く必要があります。

・配信者はスキルが必要

ライブコマースでは、リアルタイムで、視聴者からの「コメント」や「質問」への対応が求められます。

配信者には、これらに対応できるスキルが必要です。

配信中に視聴者からの質問や要望に応じることで、信頼関係を築けます。

ただ商品を紹介するだけではなく、視聴者とコミュニケーションを取りながら、商品の魅力や特徴を伝えることがライブコマースの肝です。

・配信環境の整備や、不測の事態への備えが必要

・配信内容によってはブランドイメージの低下を招く

ライブコマースはライブ配信のため、その場での発言・見せ方を修正できません。

誤った発言があった場合は取り消せず、ブランドイメージが低下する恐れがあります。

そのため、事前に「やってはいけないこと」「言ってはいけない言葉」などのチェックリストを用意しておきましょう。

また「ユーザーニーズ」もまとめておくことで、効果的なライブコマースの実施につながります。

◆ライブコマースの成功事例

最後に日本企業におけるライブコマースの成功事例について見ていきましょう。

・百貨店

ある百貨店では、ライブコマースを利用したお中元の販売が好調です。

イラストレーターやアートディレクター、ソムリエ、漫画家など、グルメやギフトに詳しい人物を起用し、3万人以上の視聴者を集めました。

その結果、自社でのライブコマース経由の売上は、過去最高を更新しています。

・食品メーカー

日本から中国に進出する際に、ライブコマースを活用した食品メーカーがあります。

ライブコマースで販売したのは、中国にはない日本ならではの商品や、中国で安価な類似品が多い商品です。ライブコマースを使うことで、想定以上の売上を達成できただけでなく、中国のお客さまに刺さるポイントがわかるといったメリットもありました。

・アパレルメーカー

あるアパレルメーカーでは、2020年の緊急事態宣言をきっかけに開始したライブコマースで、最大9,000人の視聴者を集めることもあったそうです。

ショップスタッフやモデル、インフルエンサーが出演し、視聴者の質問に丁寧に答えることで、ファンの創出や売上向上に貢献しています。