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インサイドセールス立ち上げで最初にやるべきこと

「マーケから流れてくるリードを取りこぼしている」「営業が新規開拓に時間を割けない」「在宅勤務が増え、訪問だけでは商談が作れない」——こうした課題から、インサイドセールス(以下IS)の立ち上げを検討する企業が増えています。一方で、いざ始めてみると「電話をかけるだけの部隊」になってしまったり、フィールドセールスと折り合わず形骸化してしまうケースも少なくありません。

本コラムでは、ISの立ち上げを成功させるために、最初の3か月で押さえておきたい論点と具体的な手順を整理します。ツール選定や採用の前に決めるべき設計の話を中心に、現場で詰まりがちなポイントもあわせてお伝えします。

1. ミッションと役割を定義する

立ち上げで最も多い失敗は、「とりあえずISを置いてみた」と役割が曖昧なまま走り出すことです。まず決めるべきは、自社のISが「何のために存在するのか」という一文です。

代表的な4つの型

どの型を採用するかで、必要なスキルもKPIもツールも変わります。最初は欲張らず、自社で最も詰まっているプロセスに絞って一つの型から始めるのが現実的です。

フィールドセールスとの境界線

「どこまでがISの仕事で、どこからが営業の仕事か」を曖昧にすると、必ず揉めます。商談化の定義(BANT条件、ヒアリング項目、確度ランク)を文書化し、両者で合意してから動き出してください。

2. ターゲットとリードの優先順位を決める

ISは「誰に、どの順番でアプローチするか」が成果を大きく左右します。リードが大量にあっても、優先順位がなければ稼働は分散し、成果は出ません。

立ち上げ初期は「問い合わせから5分以内に一次架電」など、シンプルな運用ルールを徹底するだけでも商談化率は変わってきます。

3. トークスクリプトとシナリオを整える

「営業経験者を採れば話せるだろう」と現場任せにすると、再現性が生まれません。立ち上げ時こそ、誰がやっても一定のレベルになるよう、会話の骨格を用意しておきます。

最低限作っておきたいもの

スクリプトは完成形を目指すものではなく、毎週改訂する前提で運用するものと捉えてください。実際の通話を聞きながら、勝ちパターンと負けパターンを毎週言語化していく作業がチームを育てます。

4. KPIとレポート設計を最初に決める

KPIを後から決めると、データが取れずに評価不能になります。立ち上げ当初から「何を、どの粒度で記録するか」を決めておきましょう。

追うべき指標の例

注意したいのは、架電数のような活動量だけを評価指標にしないことです。数を追うと「とりあえずかける」文化になり、リードが浪費されます。活動量×質×成果の3層で見るのが基本です。週次で振り返り、ボトルネックがどの転換率にあるかを共有する場を必ず設けてください。

5. ツールとデータ基盤を最小構成で揃える

ツール選定は、立ち上げ当初に時間をかけすぎないことをおすすめします。完璧な構成を最初から狙うよりも、「記録が残り、振り返りができる」最小構成で始める方が、現場の改善サイクルが回ります。

大事なのは、「入力ルール」を決めてから使い始めることです。誰がどのタイミングで、どの項目を入力するかが曖昧だと、データはすぐに使い物にならなくなります。項目は最初は少なく、運用しながら追加するのが現実的です。

6. 採用・育成と運用リズムを設計する

ISは未経験から立ち上げるケースも多く、育成設計が成果を分けます。スキル要件としては、傾聴力・文章力・PCスキル・粘り強さが重要で、いわゆる「飛び込み営業の経験」だけを基準に採るとミスマッチが起きやすい職種です。

立ち上げ期に有効な運用リズム

また、社内に経験者がいない場合は、立ち上げ期間だけ営業代行や外部アドバイザーを活用し、型ができた段階で内製に切り替えるという選択肢もあります。すべて自前で抱え込もうとせず、立ち上げのスピードを優先する判断も検討する価値があります。

まとめ

インサイドセールスの立ち上げで最初にやるべきことは、ツール選定でも採用でもなく、「ミッション定義」「ターゲット設計」「スクリプト整備」「KPI設計」「最小ツール構成」「運用リズム」の6点を順に固めることです。これらを曖昧にしたまま人とツールだけ揃えても、ISは機能しません。

まずは自社で最も詰まっているプロセスを一つ特定し、「どの型のISを置くか」を一文で言語化するところから始めてみてください。その一文が決まれば、必要なKPIもスクリプトもツールも自然と絞り込めます。立ち上げは完璧を狙わず、3か月で粗くても回し切り、そこから改善していく前提で設計することが、結果的に最短ルートになります。