
営業組織が成長し、取り扱う商材や関与する部署が増えると、
「誰がどの案件を担当しているのか分からない」
「営業支援ツールが情報のカオスになっている」
という問題が発生しがちです。
本記事では、**複数商材・複数部署が関わる営業体制を“混乱なく運用するための支援体制の設計術”**を解説します。
目次
よくある混乱パターンと課題
| よくある課題 | 背景と原因 |
| 担当者が二重にアプローチしてしまう | 商材別でSFAを使い分けておらず、接触履歴が分からない |
| 案件情報が部署間で引き継がれない | 営業→導入→運用の情報がバラバラ |
| 商材別KPIが混在して分析不能 | SFAが商材単位で設計されていない |
| 顧客からの問い合わせに即答できない | 部署ごとに顧客情報の管理フォーマットが異なる |
このような問題を**“人”ではなく“仕組み”で解決する**ために、以下の支援体制設計が必要です。
解決の鍵は「3軸の明確化」
1. 商材軸:製品/サービス単位の管理
→ 商材ごとにKPI・案件種別・営業フローが異なる場合、
SFA上で商材別のラベル・テンプレート・ステージ設計が必須です。
例:
- 商材:A/B/C
- ステージ:資料送付、デモ、見積、稟議中…(商材ごとに差異あり)
- ダッシュボードやレポートも商材別に分ける
2. 組織軸:部署・チームごとの役割と責任の明確化
→ 営業・プリセールス・導入・カスタマーサクセスなどが分かれている場合、
各フェーズの“案件責任者”を明確にし、SFA上で担当を可視化しましょう。
設定すべき項目例:
- 営業担当者(FS)
- 技術担当者(SE)
- 導入担当者(オンボーディング)
- 維持担当者(CS)
SFA内で「役割別担当フィールド」を作成し、
通知やタスクも部署別に設計します。
3. 顧客軸:1社=1ページに全情報を統合
→ 商材や部署ごとに管理が分かれてしまうと、同一顧客への複数提案が見えなくなります。
そのため、“顧客単位”で情報をまとめるレイヤー設計が重要です。
必要な仕組み:
- 顧客ページ上で全案件をリスト表示(商材別)
- 部署ごとの対応履歴を時系列で統合
- 顧客名ベースで一括検索/分析ができる構成に
ツール設計例(SFA/CRMカスタマイズ)
| 機能 | 実装ポイント |
| 商材フィルター | 案件登録時に「商材種別」選択必須にし、ダッシュボードやリストを分ける |
| 複数担当者管理 | 「営業担当」「技術担当」「CS担当」などを個別フィールドで持つ |
| 顧客統合ビュー | 1社の顧客レコードにすべての案件と対応履歴を紐づけて表示 |
| タスク連携 | ステージごとに対応者へリマインド・Slack通知を自動設定 |
よく使われるSFAツールとカスタマイズ相性

| ツール名 | ポイント |
| Salesforce | 商材別オブジェクトや部署別の役割設計が柔軟にできる。大企業向け。 |
| Senses | 商材やプロダクトライン別にステージを分けやすく、ダッシュボードも視覚的に整理可能。 |
| Mazrica Sales | シンプル設計で複数部署でも迷わず使える構成が可能。中堅〜ベンチャー向け。 |
| kintone | アプリ構造を自由に組めるため、複数部署連携・商材別設計に強い。 |
成功事例:製造業A社の再設計プロジェクト
- 商材:10種(機械/保守/SaaS/消耗品など)
- 部署:営業/技術/CS/代理店管理
- 当初課題:顧客情報が部署ごとにバラバラ。二重提案や情報断絶が常態化。
対応:
- Salesforceで「商材別オブジェクト」+「部署別フィールド」設計
- 顧客名で全データを統合するビューを作成
- Slack連携で部署間アラート・タスク通知を自動化
結果:
- 顧客単位の把握力向上
- 商材別・部署別のKPI可視化
- 引き継ぎの属人化が消滅
まとめ:営業支援体制は“立体的に設計”せよ
商材が増える。部署が増える。
それは営業組織が成長している証拠ですが、
その分、情報設計と運用ルールは“複雑さを制御できる仕組み”が必要です。
**「商材軸」「部署軸」「顧客軸」**の3つを意識しながら、
SFAやCRMをただの記録ツールではなく、**組織全体の“意思決定インフラ”**として設計する。
それが、複雑な営業体制を混乱なく、成果につながる体制へ進化させる鍵です。